飯豊連峰 門内小屋 小屋番日記(平成20年8月13日〜8月16日)  

いよいよ、門内岳の管理期間もオシマイが近い。今シーズンはお天気の悪さが目についたシーズンだった。

GPS LOG 雲海が広がる 石転ビ上部に雪はない 北側にも雲海 洗堀の進む登山道
三本樺まであと少し 三本樺 石転ビ 門内小屋と雪渓 もう、秋の花色・・青紫
門内小屋から二ツ峰 胎内渓谷から雲が湧く ギルダ原方向 稜線に上がる尾根 14日昼過ぎ誰も通らない
大量のネットがついた。 リョウさんもイイ感じ 休養充分・・・・すっきり♪ ザック・・・でかっ♪ TEAM 『M』の勇姿

期   間    平成20年8月13日〜同16日
気象状況    天候 13日 晴れのち曇り 夜は強風
              14日 雨
              15日 雨
              16日 曇りのち雨


          気温 13日 19.2℃〜33.1℃
              14日 20.9℃〜26.7℃
              15日 23.0℃〜29.1℃
              16日 21.2℃〜27.9℃

風速風向        13日 NNW 1.0m
              14日 WSW 1.3m
              15日 WNW 2.5m
              16日 SW   2.0m

データは山形県小国町

現地(門内小屋周辺)
門内小屋周辺の気温は毎日14℃前後〜17℃前後
13日日中のみ好天に恵まれた。それ以降は、風雨が強い日が続いた。
風はSWベースで7〜10m位だった。

8月13日(水)
コースタイム
02:00 自宅発 コンビニで買い物 眠い。
03:20 天狗平着(420M)
03:45 天狗平発(420M)
04:25 楢の木曲がり(720M) 非常に暑く感じる。発汗量多い。
05:25 湯沢峰着(1,020M) 食事
06:04 滝見場(1,145M) 陽が当たり風も無く暑い。
06:47 五郎清水(1,370M) 水汲み、食事、無線NEN出ないがOTJが出てくれた。 
07:30  三本樺(1,540M) 給水、五郎清水から上は直射日光に晒されて暑い。
07:45 OIIさんとスライド立ち話。
08:07 梶川峰着(1,700M) 食事
08:30 縦走者(下山)の3人パーティーと話し出発
09:07 扇ノ地紙(1,869M)  食事中の単独者と暫く話して出発。
09:35 門内小屋着(1,865M) 
※些かおしゃべりが過ぎた。1時間位はロス?でも急ぐ登りじゃないし、まあいいか・・・・

8月16日(土)
13:16 門内小屋発(1,865M) 
13:43 扇ノ地紙(1,869M)
14:20  梶川峰着(1,700M) 土砂降り
14:50 五郎清水(1,370M) マムシ
16:00 湯沢峰着(1,020M) 土砂降り マムシ
16:30 楢の木曲がり(720M)
17:00 天狗平着(420M)
19:00 自宅着



滞在中のメモを管理棟に忘れてきてしまいアテにならない記憶で書いていますので滞在中のことは一部不正確だと思います。

8月13日(水曜日)
世間は今朝、お墓の掃除をして、今晩は墓参り。バチ当りなボクはヤマへ。お盆ねえ・・・そうは思うものの何とかストレスというか、娑婆から逃げたい一心で仕事が一段落つけるやいなや、脱兎の如く逃亡をはかる。
途中でコンビニで行動食を購入して天狗平に向かう。

今晩は月も星もクッキリ見えている。しかしお天気が持ちそうなのは、今日いっぱい。明日からは荒天となるはずだ。
お盆中に関しては、500hpa予想図を眺めると、サブハイに相当する高度5,880mが日本列島の西と東に分かれてリッジを
なしていて、今後1週間は同じ傾向が続くことを示していた。丁度、本州がトラフ場になる感じで南北から性質の異なる空気がぶつかる環境となっていて、スッきり回復は予想できない。


天狗平に着くと、何時もの様に車があり、仮眠中の感じだ。迷惑にならないようになるべく静かに準備をして出かける。
楢ノ木曲がりまでに大汗をかいている。楢ノ木曲がりで給水して汗を拭う。
5時少し前でヘッデンは要らない。湯沢峰で食事を取る。
滝見場でNENを呼んでみるが応答ナシ。登山道の洗堀が深刻な場所もある。今後考える必要を感じながら登る。

五郎清水。五郎清水でNENを呼んでみるが出てくれない。が、しかしOTJがお疲れ〜と出てくれた。水を汲みに行くが『なっちゃって五郎(本当の五郎清水の手前)』の先は朝露でビショビショなので
ナンちゃって五郎で水を汲む。

三本樺を目指し登る。五郎清水から上は樹の高さがなくなり、陽の当たりがきつくなる。上から単独者が降りてくる。
会のOIIさんだ。仕事が一段落ついたので、昨日上がったそうだ。

梶川峰で食事を摂る。上から3人の縦走者が下山してきた。暫くあれがどうの、こうのと楽しく話してチョコやレモンを頂いた。
ここまで来れば、暑さからも開放され呑気に進む。
暑さから開放されキョロキョロしながら進むと、花は赤系、ピンクや黄色は少なく、青や紫の秋の花の色だ。

扇ノ地紙に着くと、単独の登山者が朝メシを食べていた。
もう、飯豊は懲りた。こんなデカイと思わなかった。もう来ねぇよ〜
いや〜・・・でもよ〜また歩きてぇよな。
との感想。
あれが、杁差かよ〜遠いなぁ〜おい。
行って見てぇなあ〜歩いて見てぇなぁ〜。
とまだ、纏まっていない様子。
でも、彼はきっと戻って来るね。
ここから、門内は指呼の間なのでノンビリと進む。

管理棟に着くと、NENとOTJが寛いでいた。下村さんは梅花皮までネットを運びに行ったようだ。
OTJも皆がネットを運ぶので俺もしなきゃ・・・・といいつつNENと楽しそうにしていた。

NENの下山と入れ違いで下村さんが門内小屋に戻る。
下村さんは、今晩は梅花皮小屋にお世話になり、明日の晩は御西にお世話になるそうだ。

下村さんが梅花皮に出かけてから、ポツポツと宿泊者が到着する。
テント泊が多かった。
お天気は下り坂で、今晩は風を予想していた。
案の定、日付が変わる頃から風が吹き始め良く眠れなかった。昨晩もロクに寝ていないが煩くてウトウトしたり目覚めたりの繰り返し。
この日は午前3時半頃には起きてラジオを聴いていた。



8月14日(木曜日)
風は収まることなく10m位吹いている。
ラジオでは下界の大雨の可能性を予想している。朝6時頃から細かい雨が降り始める。大した降りではないが、風が吹着つけるので直ぐに濡れる。
門内清水を気にしていたNENの事を思い出し門内清水の様子を見に行く。雪渓上端の溶けた隙間から昨年の門内清水の取水個所を見つける。
シュルンド状になったところに潜り込み様子を確認する。水は湧水しているが少し汲み出し個所が良くないので、バールで掘る。
邪魔な小さい岩を幾つか取ると良い塩梅になった。冷たく美味しい水だが、足元が良くない事、滑り転び雪渓の穴に滑り込んでも危ないのでインフォメーションはしないことにした。

昨晩、SYZが御西に上がり、御西泊りで15日に門内通過と聞いていた。
今日は通過する登山者もほとんどなく、退屈な光景だ。

時折、IWUがSYZを呼ぶ波が取れる。多分、無理するな。という事だと思う。(後で御西に着いたSYZに聞いたら途中で帰ろうかと思ったら、IWUに頑張れ。と叱咤激励を受けていたようだ。)
門内、梅花皮の小屋界隈ではあまり落雷はないようだが、どういうワケか本山〜御西は多い様だ。

夕方、ずぶ濡れの登山者を迎えたが、今日は寒いうえ登山者は皆ずぶ濡れで、BEERは1本も売れなかった。



8月15日(金曜日)
朝起きても相変わらずの風雨。今日はkenrokuさん達が上がってくるはずだがどうにも天気がよろしくない。
WC掃除をして朝食を摂り水場の確認と、門内清水の手入れに向かう。
水場は昨日と同じ位置で問題なし。
門内清水は昨日から概ね1m位は後退している。もうシュルンドの中という感じはなく作業もし易い。昨日掘った清水の穴を更に奥へ堀り塩ビの取水口を取り付け、雪渓の穴からマグカップを1個回収して水を飲む・・・・・旨いね。

帰りに、冷却用の雪塊を担ぎ上げて小屋に戻る。相変わらず風雨が強い。
殆ど、通過者もなく退屈していると、イチゴちゃんが到着。
イチゴちゃんによると、kenrokuさんは、MARIちゃんの実家で飲り過ぎて二日酔いでウルトラ調子悪いのでユックリ上がってくるだろうとのこと。
梅花皮まで1回戦横移動ヤッツケテくると、荷物をザックから出し、ネット&土嚢を着けて出かけていった。

この雨模様のお天気では誰も通過しない。
御西にWIUに会いに行った下村さんも悪天候の中門内に戻ってきた。
ryouさん、哲さん、kenrokuさん、MARIちゃんが次々到着。ryouさんは杁差から来たとのこと。
門内小屋の1Fで食事を始めるが、誰も来ない。独占〜♪
と思っていたら、夕方遅くなってずぶ濡れの登山者が相次いで到着した。

本日のサプライズはイチゴちゃん持参の刺身。
kenrokuさんは生の鶏の骨付き肉で蒸煮にして熱々のごちそう。
漬物、揚げ物等大量の食品が出てくる。出てくる・・・・・。
kenrokuさんは、昨日の大量飲酒のためか早々に就寝。

他の宿泊の方の就寝時間も考えて早めに管理棟に移り2次会。
イチゴちゃんも横になりそのままオヤスミ。
イチゴちゃんは結局そのまま朝まで放置プレイ?



8月16日(土曜日)
朝7時にはボッカ隊のザックに大量の緑化ネット・土嚢袋をザックに着けた。
あれ程沢山あったネット類が皆さんのザックに着いたのだった。全部着くんじゃないのぉ?と言ったが・・・・
まさか・・・・・本当に収まった。♪
MARIちゃんのザックでかいねぇ・・・どうやら、TAKAGAIさんから戴いたものらしい・・・・どうりでデカイ。

気持ちの良い担ぎっぷりで皆さんとりあえずの目標となる北股を目指し歩き出した。

それから、30分位経過した頃か?大ちゃんが軽快に歩いてきた。随分早い時間に出てきたようだ。
まだ、みんな荷物が相当に重いので追いつくと思うヨ。と話すと、了解!と緑レインジャー(?)はすっ飛んでいった。

10時を少し廻った頃、NENが到着。
下山の行動食の持ち合わせがないので、昼ごはんを食べてから下山することにする。
NENと各種引継ぎをして昼食を食べて下山する頃には再び雨が落ちてきた。

扇ノ地紙あたりではガスで視界も悪い。雨とガスの中トボトボと歩いて下山。ツマラナイなぁ・・・
裸地化した斜面では、渓流の様な水流だ。この水流が土砂を動かし、植生を脅かす。
まあ、侵食作用は平らになるまで続くのだから、自然な現象ではあるが、侵食作用により植生の荒廃が始まり、その植生の荒廃
が更なる荒廃を呼ぶ悪循環・・・・その端緒となったのが登山道となれば、人為的な作用でありそれを何とかしなければいけない。

一昨年の実証試験地のネット上にも水が走っている。上流部から水流をコントロールする必要がある。
同様の事は門内小屋からテン場・水場へ向かう通路にも言える。
水制・ステップ&プール等で水の力を上手く抜いて、流れを弱めて洗堀から登路荒廃による環境破壊から守らなければいけない。
等とつらつら感じながら梶川峰・・・・酷い土砂降りだ。

梶川峰を過ぎると滝見場までは急な下り。雨が強く急ぎたいところだが足元が悪くて急げない。沢の様に水の流れる登山道を下る。
仕方ないなぁ・・・とブツブツ言いながら下る。
五郎清水の少し上でマムシが登山道の脇に居た。雨で足元を見ていたので気付くのが遅くアッという間に逃げられた。
五郎清水はそのまま通過。

湯沢峰で座り込んで水を飲んで時間を見ると、丁度16時・・・・・随分と時間がかかるなぁ〜
ここで少し休んで・・・・・・そうすると下山は17時頃か・・・・
あ〜腹が空いた。

少し下った岩っぽい所でまた、マムシが居る。今度こそと思い棒で刺激したらボクと遊ぶ気はサラサラないようであっという間に薮にアタマを突っ込んでしまった。失敗したなぁ〜何とかコッチを向いてよ〜とアタマの先の薮を突いてみたけど、全然つれなくて、す〜っと薮に消えた。あらら・・・・

余計な事しないでサッサと下ろうと思い直して足を進める。


何だか妙に疲れて時間がかかりながら天狗平着。
天狗平にも誰もおらず、盆休み期間中とは思えない寂しさだ。夕方ではあるが逆に少し明るくなった空の下、自分の身なりは・・・・
ザックも衣類も靴も全てグチャグチャだしザックは急斜面を降りる時にどうしても底部が土に触れるのでドロドロだ。
トランクにドロドロのザックをブルーシートで包んみ放り込み、運転席にやはりブルーシートを敷いてグチャグチャの衣類のまま車に乗り込んで、梅花皮荘まで行き入浴し帰宅した。時間がかかるとやはり疲れる。


気になると云えば門内小屋周辺のオオバコ。
オオバコは、本来、小屋周辺には無いものと思う。平地、街中の公園、グラウンドあたりでよく見かける雑草です。
人間等の踏みつけに強く、他の植物が踏みつけにより受傷して枯死するような場所でよく生育するようで、草丈がないので
他の植物が上を覆うような場所では生育し難いようだ。
また、種は靴底等にひっついて移動する様だ。
天狗平のPで靴底の溝にオオバコの種子へばりついてその上に泥が覆い
泊まり場で泥と共に落ちる。或いは、ザックの下部にくっついて門内周辺までたどり着いたのか?
多分、草原内まで侵入することは無いと思うけれど、本来生育していないものが定着するというのは良くないことである。
それほど、問題にならないものなのか?
それとも、植生に悪影響を及ぼすものなのか?
機会があったら調べてみたい。

それにしても、不安定なお天気が続いた飯豊の夏だった。
NENがヤマを降りる8月18日(月)門内の管理期間は終了して短い夏山シーズンが終わり秋山時期に入る。
紅葉の時期を迎え、10月中旬には稜線に雪が訪れ11月には稜線に根雪の時期に入る。


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